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台湾は地理的、歴史的な要因から、文化的に豊富な表情を持つ。音楽文化も例外ではなく、エスニック別には、原住民音楽、漢族音楽、西洋音楽の三種類に大別できる。
原住民音楽
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鼻で吹く原住民族の鼻笛は、竹製で単管と双管がある。(張素卿撮影)
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1996年、ドイツの音楽グループ、エニグマの「リターン・トゥ・イノセンス」がアトランタオリンピックのテーマ曲となり、数百万枚の大ヒット曲となったが、その中に使われている、生命力に満ちた男声独唱に多くの人が感銘を受けた。実はそれは台湾の原住民族アミ族の郭英男(Difang)が歌う「老人飲酒歌」だったのである。こうして世界の人々はあらためて台湾の原住民音楽の美に触れることとなった。
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聞く者の心を震わせるブヌン族の八部合唱。(観光局提供/張智開撮影)
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マレー・ポリネシア系の台湾原住民族の音楽は歌舞を中心としており、その音楽文化は生活と密接に結びついている。各エスニックによって伝統や生活環境や習慣が違い、それぞれに独自の祭典があるため、祭典で披露される歌舞も異なる。原住民族の歌曲の多くは即興で、掛け合いの方式が採られている。歌詞の内容は、労働や祭祀、愛情、叙事、飲酒、儀式など暮らしのさまざまな情景を反映したものである。各民族の重要な祭典は現在では重要な観光資源の一つとなっており、祭典で披露される華麗な歌舞は外国人観光客にとって見逃すことのできない文化体験でもある。中でも特色があるのは、ブヌン族の八部合唱、サオ族の杵音、ヤミ族の頭髪の舞、アミ族の豊年祭の歌舞、サイシャット族の矮霊祭の歌舞などである。
特色ある楽器としては、鼻笛や口琴、竹筒琴、弓琴などが挙げられる。
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日月潭のサオ族は、長さの異なる杵で代わる代わる石板を叩き、さまざまな音階によって美しいメロディーを奏でる。(黄丁盛撮影)
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漢族音楽
漢族音楽は基本的には中国の黄河流域から受け継いだ音楽文化で、日本統治時代にはしだいに台湾特有の音楽へと発展した。唸歌、北管、南管、歌仔戯、陣頭、客家山歌、客家八音などがある。
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台湾の郷土の味わいを特色とする恒春民謡団は、祝日の行事や祭りなどで芸を披露する。(廖泰基撮影)
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唸歌とは、唸りと歌を交えた語りの音楽で、シンプルな楽器の伴奏がある。多くは一人による弾き語りの形を採り、歌の中に物語の叙述が入り、七字一句の「七字仔」と、字数を制限しない「雑唸仔」に分けられる。その歌詞は、初期には「歌仔簿」から採ったものだったが、後には多数の即興の歌詞が生まれた。メロディには「江湖調」「七字調」「都馬調」「雑唸仔」などが応用される。
北管は福建省以北の鑼鼓楽、鼓吹楽、戯曲、音楽などの総称で、台湾で頻繁に催される廟の祭りで披露される。媽祖のパレードや神を祭る儀式、葬儀や法要といった宗教活動などで「北管陣頭」を見ることができる。北管音楽が内包する楽種や劇種は多様かつ複雑で、神々の祭りのパレードの出し物である「陣頭」の一つとして親しまれている。そのパレードの規模は大きく、博物館などに収蔵されている宝物の繍旗や宮灯なども沿道に飾られて雰囲気を盛り上げる。北管戯の歌詞の多くは七字または十字一句で、伴奏は弦楽器や管楽器、打楽器の混合編制、殻仔弦(椰胡)や吊鬼仔(京胡)などがメインとなる。
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Y撥弦楽器の一つ「月琴」は、満月のように丸い形のためこの名で呼ばれる。
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南管は「北管」に対してつけられた名称で、中国の福建南部の泉州やアモイ一帯に伝わる音楽であり、台湾では小型室内楽としても知られている。琵琶、三絃、洞簫(管楽器)、二絃、拍板(カスタネット様の打楽器)から成るものが「上四管」と呼ばれ、さらに「下四管」(四種類の打楽器とチャルメラ)が加わって、合わせて「十音」となることもある。歌を伴う時には、歌い手が拍板を兼ねる。
歌仔戯は台湾の歌劇で、台湾で最も普及している戯曲である。20世紀初期に台湾東北部の宜蘭で生まれ、最初は現地の山歌を応用して、シンプルな化粧を施した役者が屋外の地面で物語を演じた。これを「落地掃」と言う。その後、他のさまざまな戯曲の要素を採り入れて台湾独特の歌い方を伴う歌仔戯へと発展した。常用される曲調には伝統の七字仔、哭調仔、都馬調、雑唸仔調などがあり、さらに民謡や流行歌なども加わり、台湾の民間音楽を総合したものとなった。
陣頭は、神々の祭りや葬儀などの行進や野外舞台で見られる出し物で、その種類は非常に多い。畑を耕す牛の姿に扮した「牛犂陣」、さまざまな武器を手に演じる「宋江陣」、顔に隈取りをして宝器を手に行進する「八家将」、娘役と道化役が滑稽な歌舞を披露する「車鼓陣」、男女が掛け合う「桃花過渡」、そして音楽演奏を主とする「南管陣」や「北管陣」、さらには現代の「西楽隊陣」や電子楽器をトラックに載せた「電子花車陣」などもある。さまざまな陣頭は、目的も歌舞や音楽も異なり、それらが一堂に会するにぎわいが、台湾の宗教活動の特色のひとつとなっている。
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歌仔戯の伴奏で、立ち回りの場面で用いられる卜魚。
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銅で作られた円盤状の打楽器「齊鈸」。
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管楽器のチャルメラの音は高らかに良く通る。
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客家山歌は、客家の人々が茶摘みや天秤棒担ぎや畑仕事などの仕事の合間に歌い、あるいは向うの山にいる友人と声を掛け合う歌声などから発展したものである。さまざまな歌詞が数種類のメロディー(老山歌、山歌仔、平板)などに合わせて歌われる。そのメロディは「ラ・ド・ミ」の和音がメインとなる。客家歌謡に衣装と歌舞と物語を合わせたものが客家採茶戯(茶摘み芝居)で、娘役2人と道化役1人、あるいは道化役1人、娘役1人、男役1人の3人で演じられる。
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地方の廟の祭りで練り歩く陣頭。(黄仲新撮影)
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車鼓陣は、七字四句の詞を掛け合いで歌いながら身体を揺すってステップを踏む。(葉銘源撮影)
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西洋音楽
17世紀、南台湾を占領したオランダ人が西洋の教会音楽を台湾にもたらした。また北台湾を占領したスペイン人もカトリック教会のミサ音楽と軍楽器を台湾に持ちこんだ。19世紀後期になると、長老教会の牧師が来訪し、数ヶ所に西洋式の学校を設けて音楽の授業を行なうようになり、これが台湾における最初の西洋音楽教育となる。日本統治時代に入ると、すでに西洋式の教育を採用していた日本政府が、台湾各地に学校を設立して音楽の授業を行ない、後に日本留学を経験した台湾人音楽家が誕生した。そうした中で、張福興は1920年に台湾初の西洋音楽団体「玲瓏会」を設立。1945年には台湾初の公設交響楽団、台湾省警備司令部交響楽団(現在の国立台湾交響楽団)が成立し、1969年と1986年にはそれぞれ台北市立交響楽団と連合実験管弦楽団(現在の国家交響楽団)が設立された。この三つの楽団は公的部門が運営費を全額出しており、台湾のあらゆる楽団の中で最も恵まれている。現在、台湾の各大都市では地域の楽団や合唱団、学校の吹奏楽団や合唱団などが多数活動しており、優秀な楽団はしばしば各種国際コンクールや音楽フェスティバルに参加し、高く評価されている。
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国立交響楽団の屋外公演は、忙しい日々を送る人々に、大自然の中でゆったりと音楽を楽しませてくれる。(廖泰基撮影)
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毎年7月に開かれる貢寮海洋音楽祭では、数十万人が砂浜に集まってロックを楽しむ。(林格立撮影)
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台湾の流行音楽は、歴史的な要因からアメリカと日本の影響を強く受けており、北京語、閩南語(福建南部の言語)、英語、日本語の歌が市場の主流である。台湾初の流行音楽「桃花涙血記」は1932年に初めて台湾で上映された同名の上海の無声映画のために書かれたもので、ここから日本時代の閩南語流行歌の黄金時代が始まった。これらの作品は、日本人に統治されていた当時の台湾人の気持ちを発散させるものだった。1940年代になると日本は皇民化政策を推進して閩南語流行歌の創作は中断し、1945年の戦後に復活した。しかし1949年に国民政府が台湾に移ってくると、国語推進運動が始まり、閩南語の創作空間は再び圧迫されてしだいに縮小し、国語流行歌が主流となった。この頃、米軍が台湾に駐留していたため、流行音楽界は大量の英語の流行音楽に触れることとなる。アメリカとの国交断絶と美麗島事件の後、しだいに台湾文化が重視されるようになり、閩南語流行歌が再び発展の時代を迎えた。
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台湾のアーティスト周杰倫(ジェイ・チョウ)の「無与倫比」ツアー台北コンサートの様子。(杰威爾音楽有限公司提供)
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2009年、台北で開催された第21回夏季デフリンピックの開会式で歌声を披露する台湾のシンガー張惠妹(アーメイ)。(林格立撮影)
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2000年以降、台湾では各エスニックの文化的自覚が進み、国語や閩南語だけでなく、客家や原住民族も次々と母語の歌を発表し始めた。こうして音楽の民族的要素が多様化すると同時に、世界との結びつきも強くなり、ロック、ヒップホップ、ジャズなどの要素がさらに音楽を多様化していく。こうして蓄積された文化的エネルギーは、近年国境を越えて実力を表し始め、コンサートやCD、映画、テレビドラマなどを通して、台湾の多くの作曲家やアーティストがアジア各国で活躍するようになった。中でも、張惠妹(アーメイ)、周杰倫(ジェイ・チョウ)、王力宏(ワン・リーホン)、五月天、F4などが広く知られている。台湾の流行音楽は特殊な歴史と環境によってさまざまな文化を融合しており、長年にわたって華人圏の音楽マーケットを独占し、華人ポップスの発展をリードしてきただけでなく、最近は一部のアーティストが日本や韓国の市場にも進出し、影響力を発揮している。
(編集注:台湾は流行音楽産業を重視しており、金曲賞や各種音楽賞を設ける他、「流行音楽産業発展旗艦計画」を通して人材を育成し、保存や研究開発、海外マーケティングなどを奨励し、流行音楽産業の発展をサポートしている)
著者:何康国
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「敔」は孔子を祭る際に用いられる木彫の楽器で、木片または竹片で楽器の凹凸部をこする音が音楽の終わりを告げる。
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CULTURAL TAIWAN
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