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新中国式建築を採用した国父記念館。黄色い屋根が大鵬の翼のように大きく伸びている。
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歴史的に蓄積された多様な文化
台湾は豊かな海洋文化を有し、時代や地域、文化、あるいは民族的背景により、建築面においても複数の軸を持つ座標が描かれてきた。西太平洋をレースのように縦に縁取る列島の中央に位置する台湾は、数百年にわたってさまざまな文明の洗礼を受け、建築においても多様な遺伝子を育んできた。スペイン人は淡水に紅毛城を築き、オランダ植民地時代にはゼーランジャ城が建てられ、清の時代には閩南(福建南部)や客家の伝統的な集落が生まれた。日本統治時代には総督府や州庁舎、それに都市部の緑陰大通りが築かれ、戦後には国父記念館(王大閎)や円山大飯店、中正記念堂などが建てられた。そして現代になると、台北101(李祖原)、高速鉄道の新竹駅(姚仁喜)、高雄ワールドゲームズスタジアム(伊東豊雄)などが建てられ、これらすべてが台湾建築の数百年にわたる発展を示している。一つひとつの時代の文化が波のように重なり、台湾建築の多様な風格を生み出したのである。台湾の生活環境は密度が高く、そのため実用的で速く、フレキシブルという価値が求められる。台湾建築には特定の特徴はないかも知れないが、流動と変化と高度な混合的使用という点に、都市の生命力が見られる。
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伝統の閩南様式で建てられた金門の民家。燕尾のような屋根の反りが美しい。
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廟建築の美
台湾の廟(寺院)は民間信仰の中心であり、あらゆる地域で見られ、多くの町村では廟の存在がそのシンボルとなっている。台湾の400年余りの歴史は常に民間信仰と深く関わってきた。台湾の古跡の多くは寺廟であり、台北の大龍峒保安宮、万華の龍山寺、三峡の祖師廟、鹿港の龍山寺、北港の朝天宮、台南の孔子廟、澎湖の天后宮などはいずれも貴重な文化遺産で、伝統芸術の傑作でもある。廟建築は各種芸術の結集でもあり、荘厳で華麗な外観とともに、彫刻や絵画、塑像などを組み合わせたものである。台湾の木造寺廟には釘は使われておらず、全てほぞとほぞ穴を嵌め込んで組み、柱の上の枡形(斗形)で梁を支えている。これは中国建築の技術だ。門前では石の獅子が廟を守るとともに参拝者を迎え、龍柱には彫刻が施され、屋内天井は藻井に絵が描かれ、レンガや陶器、しっくいなどで石窓が設けられている。台湾の寺廟は、建築、彫刻、絵画などの表現において、それぞれの時代の社会の美意識と民間工芸のレベルを反映している。
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台湾の廟建築は荘厳で華麗なだけでなく、彫刻や絵画、塑像など各種芸術の美を総合したものでもある。写真は1937年築の淡水祖師廟。
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町づくり、都市と郷土の経験
第二次世界大戦後にアジアは急速に経済を発展させたが、台湾は政治的、社会的にまだ開放されておらず、地価高騰のために、建築は不動産としての価値ばかりが重んじられるようになり、環境としての真の価値がゆがめられていた。1980年代末に戒厳令が解除されて社会の活力が目覚めると、実質的な環境の面でも新たな可能性が芽生え始める。特に1996年から始まった「町づくり」運動は、台湾の草の根の力を発揮した。こうした経験は宜蘭で始まり、この20数年、地方の建築家が力を合わせ、プロとしての理想の実現と品質のために努力し続け、優れた環境を生みだしてきた。宜蘭厝、冬山河、宜蘭県政センター(象集団)、蘭陽博物館(姚仁喜)、礁渓郷役場、宜蘭駅前丟丟銅広場、宜蘭三星郷展演広場(黄聲遠)などが知られている。その後、高雄では都市での経験が始まり、愛河の整備から一連の空間改造が続いた。高雄MRT中央公園(リチャード・ロジャース)、大立精品百貨(UN Studio)、愛河之星(張瑪龍)、高雄ワールドゲームズスタジアムなどが続き、台湾の都市や郷土での新たな経験が生み出された。
台湾大地震からの再建
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台北101の高さは508メートル。2004年の竣工から2007年まで世界一の高さを誇った。
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1999年9月21日に発生した台湾大地震は甚大な被害をもたらしたが、台湾の建築発展には革命的な転換点となった。教育部(文部科學省)は「新キャンパス運動」を推進し、台湾の若手建築家たちの努力を通して、被災地の学校が次々と再建されていった。台湾大地震の後、建築家は専門家としての社会的責任を改めて認識することとなり、それまで個人的なスタイルを追求していた建築家も、建築と周辺環境との調和を設計の重要な要素ととらえるようになり、現地の文化や生態と建築物との融合を目指すようになった。潭南小学校(姜楽静)などが良い例である。建築家たちは積極的に社会改革にも取り組み、サオ族の被災者とともに住居を再建する運動も見られた(謝英俊)。台湾大地震教育パークには震災の実際の被害が残されており、建築設計を通して環境を実感できるようになっている(丘文傑、荘学能)。2000年以降、台北101を除くと台湾ではランドマーク的な壮大な建築物はほとんど建てられなくなり、建築設計は人と文化への関心を持つ、公共空間と社会価値を豊かにするものへと変わってきた。
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螺旋形の外部構造と太陽電池パネルの屋根を持つ2009年高雄ワールドゲームズ・スタジアムは、芸術性と躍動感を備えている。
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国際性とサステナビリティ
台湾の現代建築が直面する問題は、単一の建物の形式や空間計画ではなく、周辺の景観や地理的条件、都市計画、コミュニティ意識、社会の動き、企業イメージ、地域産業、そして現地文化などといかに融合するかにある。近年、政府が中心になって積極的に文化クリエイティブ産業発展を推進しており、中央から地方まで、各種の文化・交通建築の国際コンペを頻繁に行なっている。故宮南院計画、衛武営芸術文化センター(Mecanoo)、台中大都会歌劇院(伊東豊雄)、空港MRT台北駅(髟カ彦)、台北芸術センター(レム・コールハース)などである。公開の国際コンペや新しい評価審査制度、明確な空間ビジョンなどを通して、建築創意のエネルギーは非常に高まっており、台湾が建築創意において世界へ出て行こうという決意と視野が示されている。この他に、サステナビリティも今後のカギとなる重要な価値である。グリーンビルディングは、建築物の企画設計、施工過程、使用管理、そして最後の取り壊しや建て直しまでにわたって、消費エネルギーを節減し、最も有効に資源を利用し、環境負荷を最も少なくするという前提で建てられるもので、人と建築物と環境の共存共栄と持続可能な発展を目指すものである。例えば、北投図書館、2010年台北国際花博覧会夢想館、未来館、生活館(郭英サ、張清華)などは、生態環境と省エネを重視したグリーンビルディングで、さらに台湾の国民性や文化、気候、環境などを設計に取り入れたものである。2009年の高雄ワールドゲームズ・スタジアムの屋根は8844枚の太陽電池パネルから構成されており、世界初の100万ワットの太陽光発電量を持つスタジアムであり、流れるような外観も非常に美しい。
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南投県の山地にある潭南小学校。狭い面積でも児童にスポーツの場を与えるために、陸上トラックは校舎を巡るように設けられている。
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北投図書館は、生態と環境、サステナビリティの概念を結びつけた木造のグリーンビルディング。地域住民に健康的で快適な読書環境を提供している。
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生活の美学
台湾には豊富な歴史的建築遺産があり、また優れた設計の現代建築も数多い。近年、政府は自然環境と公共建築と人文芸術美学を結びつけることに、多くの資源を投じて取り組んできた。サステナビリティを中心価値とし、台湾に生活美学の文化を育てようとしている。生活美学の範囲は非常に広く、個人の美意識や教養と公共分野の生活の質感にも関わるものである。生活美学運動を通して、国民の公共意識を高め、公共美学と公共参加を推進し、美学の社会運動へと発展させることで、都市の美観を高め、台湾の生活の質を一層向上させたいと考えているのである。
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高雄地区の50ヘクタール余りの公園の中に予定されている衛武営芸術文化センターは、文化と生態と地理的環境を融合させた公共建築となる。これはエイの形をした同センターの模型。
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著者:張基義
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白壁に青い瓦の中正記念堂は台北市の著名なランドマークである。
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